トリミングサロン経営のポイントは固定費にあり★★★
【固定費とは?】
よく耳にする難しそうな用語ですが、
固定費とはトリミングをしなくても負担することになる経費です。
たとえ今日から1ケ月お客様がゼロでも負担することになる経費です。
例えばドライヤーを購入したら、使わなくても経費の負担から逃れることは出来ません。税理士の顧問料も内装工事代も、お客様がゼロでもずっと経費の負担が生じます。
ちなみに、固定費のうち金額が大きく長く使用するものを「償却費」と呼んだりします。聞いたことありますよね?
【固定費と対照的なのが変動費です】
変動費はトリミングをしないと負担は生じません。
例えば、シャンプー液の購入代金です。シャンプーはトリミングして初めて負担が生じます。買っただけでは負担は生じません。
今月お客様がゼロなら負担もゼロです。その分は来月のお客様に使えます。お客様の数に応じて今月と来月で負担が変動しますよね、だから変動費です。
トリミング業に関しては、変動費は非常に少ないと思います。固定費は項目も多く、金額も大きくなりがちです。
固定費を削減することで、何事にも耐えられる筋肉質な経営体質になると思います。
「サロン経営のポイントは固定費にある」と言っても過言ではないです。
1頭当たり経費を意識する★★★
【私の習慣を公開します】
私は全ての経費について「1頭当たり経費」を考える癖があります。
サロン経営を継続するためには(退場しないためには)、トリミング売上で経費を回収していく必要があります。
別の言い方をすると、「1頭当たり経費」を上回るトリミング価格を設定する必要があります。「1頭当たり経費」がトリミング価格の最低ラインということです。
トリミング価格と「1頭当たり経費」が近ければ黄信号が点滅しているということです。赤信号にならないように注意する必要があります。
だから私は常に1頭当たり経費を計算して、信号機の色を確認するのです。
【具体的に計算してみましょう】
●ドライヤーに限定して「1頭当たり経費」を具体的に計算してみましょう。ドライヤーの購入費を、トリミングする犬の数で割り算するだけです。
1万円のドライヤーを買い、
100頭トリミングして買い換えるなら、
「1頭当たりドライヤー経費」は@100円になります。
(計算式:経費1万円÷犬数100頭=@100円)
●もうひとつ税理士先生の顧問料で考えてみましょう。
年間20万円の報酬だとします、
年間のトリミング数が1000頭なら、
「1頭当たり税理士報酬」は@200円になります。
(計算式:経費20万円÷犬数1000頭=@200円)
●さらにペイペイ手数料で考えてみましょう。これは前の二つと違い変動費です。
8000円の売上で2%の手数料なら、
「1頭当たりペイペイ手数料」は@160円になります。
(計算式:売上8000円 × 2%=@160円)
簡単ですよね?
経費は項目ごとに支払金額を削減する「絶対金額の管理」が重要です。
しかし、同時に「1頭当たり経費」を考えることで新たな視点が加わると思います。
見方が違ってくると思います。
例えば、税理士報酬で考えてみましょう。年間20万円の税理士報酬というのは「絶対金額」で考えると高くはないです。しかし、「1頭当たり」200円の税理士報酬を支払っていると考えると高いですよね?どうにかして抑えたいと考えますよね?
税理士さんを雇うことでお客様が増えるということは、たぶん無いですから(ペイペイの導入はお客様が増える可能性もありますが)。
固定費の影響を知る
【1頭当たり経費は千差万別】
私も創業当初はドライヤーを数か月で新品に買い換えていましたが、今は10年間も修理しながら使います。
ドライヤーの「1頭当たり経費」は、昔の方が今の数十倍高かったということです。
1日のトリミング数にもよりますが、「1頭当たり経費」には大きな差が出ると思います。例えばこんな感じ?
●ブロアーなどのトリミング道具
修理して長く使うか新品に買い換えるか?
1頭当たり道具経費の差は数百円?
●経理、HP制作などサブスク経費
自分でするか外注するか?
1頭当たり外注経費の差は数百円~500円前後?
●内装や看板などの設備工事
極力抑えるか奮発して豪華にするか?
1頭当たり設備経費の差は数百円~数千円?
すべての経費を合計すると「1頭当たり経費」に結構な差が生じます。
固定費が原因で「1頭当たり経費」に大きな差が出るのです。変動費(シャンプーなど)ではここまで差はないと思います。
この固定費の差が、トリミング価格やお店の利益に影響してきます。固定費が非常に重要だということです。
【ただし書き】
ただし、今回は経費の大きさのみに注目してきましたが、効率や効果を考えると高くても外注した方がよい場合も多々あります。
店舗工事やHPはブランドイメージに影響して売上にも跳ね返ってきますから、節約のみが正解とは限りません。そこが経営の難しいところでしょう。
効果まで考えるのは、一歩進んで「投資の意思決定」という話になります。経費と売上の両方の増加、そしてリスク(確率)まで考えてどうする?という話です。また今度考えてみましょう!
今回は固定費の重要性の話でした。
毎日の新聞やニュースでも「アセットライト」「固定費の変動化」「構造改革費用」「リストラ」など固定費に関連する記事でいっぱいです。
新聞に載るような大企業でも固定費の管理が難しく、失敗も多いということだと思います。